「卵管回帰説」は、ごく初期の生命現象の1つとして考えられるものかもしれませんが、私の考えでは、非常に稀な場合にのみ当てはまる現象と思います。といいますのは、卵管は、卵管の外側の卵管采から子宮内腔に向かって、線毛という細胞の働きと卵管自体の収縮作用で、稲穂がなびくように、外側から、子宮内に向かって物を輸送し、卵子は子宮内へ運ばれて着床します。
一方、精子にはプロペラの働きをする鞭毛がついており、自分で推進することができ、子宮の中から卵管采へ移動できます。子宮の中に入れた胚が卵管の中に取り込まれ、それが卵管の先端、膨大部まで運ばれるということは、生理的な運搬とは逆方向となり、一般的には起こりえないと考えられます。
ただし、卵管の機能が障害されたような状態、すなわち卵管通過障害などがある場合には、この卵管の正常な機能が消失されたために、卵管の中に吸い込まれ、子宮に戻ることができず、子宮外妊娠となることはあります。
胚盤胞移植ができない数年前までは、両側卵管閉塞の場合も含め、4細胞~8細胞での移植が一般的であり、そのときの妊娠率と現在の胚盤胞移植において、周期あたりの着床率はそれほど変わっておりません。ですから卵管の無い方は、必ず胚盤胞にしなければ移植できないという考えは臨床的立場から見ても正しいとはいえません。両側の卵管閉塞の方でも、たとえ胚盤胞にならなくても妊娠・出産される可能性は十分にあります。ご心配はないと思いますよ。
今回はこちらの投稿に回答させていただきました